2011年4月6日水曜日

舞人「高 玲子」

 昨日のブログに登場した、舞人「高玲子」(こう れいこ)氏について、以前執筆したコラムが出てきましたので御紹介したいと思います。


 人間の基本情動の中に「愛」は入っていない。

なぜか。

 「愛」の形は様々であり、いろいろな情動が組合わされることによって、愛という情動は形成されるからである。

 幸福な愛は勿論、心配や悲しみの底を流れている愛、嫌悪感の中に存在する愛、嫉妬やねたみを生みだす愛、快楽としての愛、神へ(から)の愛、愛がある故の憎しみ、母と子や兄弟に代表される肉親愛など様々である。

 相反すると思われる情動の中に存在する「愛」、「愛」ゆえに悲しみや憎しみが生まれる人間の性、これらを言葉ではなく舞うことで表現し続けている舞人がいる。

 舞人「高玲子」である。

 腕や手は勿論、指先・爪の先までが舞う舞人であり、空間をも舞人に寄り添い舞人の一部となる。

 「面」をもちいての舞であるが、微笑みの面から憎しみが溢れ、悲しみの面からは幸せがこぼれ落ち、面は刻と共に表情を変え、観る者を異次元の「愛の世界」へといざなう。

 舞人「高玲子」によって描き出される愛の姿は、観客と呼ばれる我々の過去や現在の己の姿を彷彿させ、自己の奥深い内面へ到達し魂を揺さぶるのである。

 揺さぶられた魂は自己解凍を誘発し、深く心の奥に閉ざされていた意識が表出し始める。

 舞人「高玲子」、時空間を共にする人々を自己の精神内界へいざなう舞人である。


NPO法人 日本ナラティブ音楽療法協会

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